『住塚山・国見山に山登り その5 道に迷う』の続きです。
『済浄坊の滝』の手前から、分岐している道を曲がる予定だったが、その一つ手前の道を曲がってしまった私たち。
それでも、『屏風岩公苑』『屏風岩山頂』の標識があったので、標識通り道を曲がり、山道に入る。
かなり急な登りの後の分岐では、『屏風岩山頂』の標識のみしかなく、もう片方の道は『通行止』になっていた。
これは・・完全に道に迷った?
『屏風岩山頂』へ登る
元の道に戻らない、という選択をした以上、もう『屏風岩山頂』へ登るしか道はない。
そろそろ暗くなってくる時間で、悩んでいる時間もあまりない。
とにかく、3人で山道を登り始める。
私は、まだ途中で『屏風岩公苑』と標識が書かれた分岐があるんじゃないかとちょっとだけ思っていた(笑)
この時・・私もだが、私以上に内心青くなっていたのは旦那だったと思う。
立場上態度にはださないが、一応、このパーティのリーダーで、行く前は、『迷う気がしない』と豪語していたのに、思い切り道がわからなくなっているし・・
体力に自信のない妻(私です(笑))と(最悪、妻は大人なのでどうかなるとしても)、5歳の娘を無事に下山させないと・・と内心冷静ではなかったのではないかと思われる。
しばらく登ると、視界がひらけたところにでた。
はっきり言ってもう汗だく。
娘に水分を取らせて、少しだけ休憩。
おお、いい景色だ。
娘もしばし見とれている。
この景色を見れただけでも、ここにきて良かった・・
・・とさすがに思えるか!(笑)
なんでまた山の上にいるの!?
せっかく降りてきたのに!
そして下を見ると・・
あれは・・うちらの車・・だよね?
現在地確認!
って・・あれ?
駐車場から見上げた屏風岩の上のうちらはいるらしい・・
『屏風岩駐車場』に到着した直後に撮った屏風岩の写真・・・
今、ここのどこかにいるらしい・・・
なんで!!
この時点で、時間はもう16時過ぎ。
もう引き返したくても引き返せない。
娘も、私と旦那の『このままじゃやばいかも・・』という空気を感じ取れるのか、少し前まで、『なんかたべたい』『つかれた』『なんでまだのぼるの~!』などグズグズ言っていたが、何も言わなくなり、おかしの催促もなくなる。
黙って言われた通り、山道を登ってくれた。
ここで、駄々をこねられたら本当に困ったので、こちらは助かったが、娘には申し訳なかったな・・・
せっかくなので、一枚だけ速攻で写真を撮って、水分補給をしたら、すぐに出発する。
それにしてもここ・・5歳児を連れて登るところじゃないな。
すぐ横は断崖絶壁だし、もう娘のフォローはすべて旦那に任せることにした。
この時点では、それどこではなかったせいか痛みは消えていたが、足をぐねっているし、体にもガタがきている。
ゆえに何かあったときにフォローする自信はない。
大失敗・・一瞬の恐怖
しばらく断崖絶壁に沿って歩くが(普通に歩けば落ちることはない)、しばらくすると山側の方に登る道になる。
旦那とゆえは先に行き、私はその後を追って、遅れながらもなんとか登っていたが、疲れていたこともあり、よせばいいのに、景色でも見るかと一瞬振り返ってしまった。
景色を見て、リラックスしよう、なんて馬鹿なことを考えていたように思う。
結果・・景色はキレイだったんだけど・・『足を滑らせたら死ぬかも・・!』と、一瞬思ってしまった。
その瞬間に体がぞくっときた。
まずい、と思ったが、そこから足がすくみ、体が思うように動かなくなったのが自分でもわかった。
しまった!
下を見るべきじゃなかった!
何やってんだか!
とはいえ、そこで止まるわけにも降りるわけにもいかない。
ゆえのフォローをしている旦那に頼るわけにもいかない。
『下を見ない!上だけ見て登る!』
と、心の中で自分に言い聞かせて、なるべく山側を登るようにして、なんとか登りきる。
あー、もう、本当に何やっているんだか!
あんなときに下を見たら、体がすくむの当たり前やん!
判断力がなくなってるのかな・・
山側に入ってからは、もう大丈夫だったけど、あの時一瞬感じた恐怖はまだ体の中に残っていた。
パパがいないと不安
山側の道に入ったし、旦那とゆえに追いつこうと急いで登る。
と、少し前を見ると、ゆえがちょこんと座っている。
旦那が、
「先に様子を見てくるから、ここでちょっと休んでて。」
と言い、どんどん先に登っていく。
ゆえと一緒に水分を取って、少しお菓子を食べさせる。
ゆえは、
「パパは?ねえ、パパは?」
と、めちゃくちゃ不安そう。
なんか迷っているのを感じ取っているようだ。
(当たり前か・・・)
「大丈夫だよ。先に行って様子を見てくるだけだから。」
と言っても、『パパ、パパ』と落ち着かない様子の娘。
山ではママはあまり頼りにならない。
パパがいないと無事に帰れないと思っているのかもしれない。
しばらくすると、
「大丈夫だよ!こっちにきて!」
と、上から声がした。
そのとたん、
「パパ~!パパ~!」
と、必死で叫びながら、パパの声のする方へ走っていく娘。
よっぽど不安だったのか、かなりの登りなのに、ダッシュでパパの方に登っていく。
足を踏み外したら、落ちるようなところでなくて良かった。
もちろん私は追いかけるが、はっきり言って追いつけなかった。
この時旦那がいたのは、『屏風岩山頂』。
「パパ~!どこ~!?」
と、叫びながら、必死で旦那の方へかけ登っていく娘を旦那がばっちり写真に撮っていた。
こらこら、旦那。
なにのんきに撮ってるねん。
娘のところに行って、手を貸すぐらいしてよ(笑)
「大丈夫だよ。ここにいるからゆっくりおいで~」
と返してはいたけどね。
パパを見つけてホッとした顔をした娘と、後ろで必死に登っている私。
(ちょっとだけ後ろに写真に写ってます(笑))
だーかーら、写真撮ってないで手を貸してってば!
屏風岩山頂
どうやらここが屏風岩の山頂らしい。
ようやく到着・・って、本来は、ここに登る予定はなかったんだけどね・・
あまり時間はないが、少しだけ休憩。
正直、休憩している時間もおしいけど・・
でも、せっかくなので、一枚だけ写真を撮ってもらった。
顔は笑っているけど、内心はかなり焦っています。
本当にまずい
この時点で、16時半。
日はもう落ちかけている。
ちょっとこれは・・かなりやばい。
「とりあえず、ゆえ連れて、先に降りて。」
と、旦那に言う。
私と一緒だと、ペースが遅くなる。
最悪、ゆえだけでも、先に降ろさないとまずい。
もうここまできたら、登りはほぼなく、あとは下りだけだ。
ゴールの位置はわかっているんだけど、未だにどういう道を行けばゴールにたどり着けるのかがわからない。
しかももう日が落ちてきている。
山だし、あとはあっという間に暗くなるはずだ。
これはかなりまずい状況だ。
とにかく降りないと。
ここから、旦那はゆえを連れて、急いでどんどん降りる。
ゆえは、身が軽いので降りるのは早い。
ゆえは、
「ちゃんとかえれるの~?」
と、すでにちょっと半泣き状態。
「大丈夫だよ。あとは降りるだけだから。」
と、ゆえの前では私も旦那も笑顔で言っていたが、内心は、『まずい、どうしよう!』という感じだった。
だいぶゆえたちが先行したが、ゆえが、
「ママ~!?」
と、何度も心配して叫ぶ。
もう私のところからは、姿は見えないぐらいまで先に行っている。
静かだから声は届くんだけどね。
「ママ、大丈夫だよ!後から行くから、パパと先に行って~!」
と、こちらも何度も叫ぶ。
ちなみに、私もなるべく早く降りようと急いでいた。
すると、・・右足・・同じところまたぐねった。
足をかばう余裕が完全になくなっていた。
こちらも登山シューズをしっかり締めていたおかげで、軽くぐねっただけで済んだ。
おそらく普通のスニーカーなら、歩けなくなっていたかもしれない。
本当に何やっているんだか・・
でも、まあなんとか歩けるので・・というかもう構っていられないので、そのまま降りる。
降りている間も、周りはだんだん薄暗くなってくる。
あと1回だけ続きます。